移動や宿泊施設の手配はすべておまかせで、リモートワークで働きながら世界各地を旅する。そんなデジタルノマドが夢見るようなプログラムが「Remote Year (リモートイヤー)」。
デジタルノマド注目の『リモートイヤー』とは?
リモートイヤー(Remote Year)は、リモートワークをしながら世界を巡るプログラムを提供する米国のスタートアップです。参加者は、ヨーロッパ、アフリカ、ラテンアメリカ、日本を含むアジアの各国で、1カ月ごとに滞在先を変えながら、チームでデジタルノマド生活を送ります。2014年に設立されたリモートイヤーは、これまでに世界の40を超える都市で、70以上のプログラムを実施、3,000人以上が参加してきました。
リモートイヤーの「ワーク&トラベル」プログラムには、1カ月約3,000ドル、4カ月12,000ドル、12カ月32,000ドルというプランが用意されています。これらの料金には、都市間の航空券と現地での交通費、個室での宿泊費、コワーキングスペース、信頼性の高い高速Wi-Fi、医療アクセス、さまざまなアクティビティなどが含まれています。
リモートイヤーの異文化体験やダイバーシティで、プログラム参加者の90%が「リモートイヤーで人生が変わった」と回答しています。リモートワークプログラムは、企業の福利厚生の一環として、法人契約も積極的に行っています。IT企業などが、優秀なエンジニアやマーケターを確保し続ける手段として採用しています。
リモートイヤー参加者のグローバルコミュニティには、40カ国以上の国籍からなる、起業家、エンジニア、クリエイター、教育者などさまざまな業種や職種のリモートワーカーが参加。年齢は21~77歳と幅広く、4割が有色人種、6割が女性、12%がLGBTQの人と多様性に富んでいます。
リモートイヤーには日本での滞在も
75人の参加者を対象とした最初のリモートイヤープログラムの募集は、2014年12月に開始され、40か国から25,000人以上が応募しました。68人が参加したノマドツアーは、2015年6月にプラハからスタート。その後、スロベニア、クロアチア、イスタンブール、マレーシアのペナン、タイのパンガン島、ベトナムのハノイ、京都、ブエノスアイレス、ウルグアイ、チリ、ペルーのリマを1年かけて巡りました。参加者の多くは若く、ソフトウェア・エンジニアやデザイナー、フリーランサー、大手テック企業の従業員などから構成されていました。
2017年のプログラムでは、参加者は京都河原町三条のミレニアル世代向けホテル「THE MILLENNIALS KYOTO(ザ・ミレニアルズ京都)」に滞在。ロビーに併設されたコワーキングスペース「andwork(アンドワーク)」でリモートワークを行いました。また、同ホテルはリモートイヤーと提携し、プログラム参加者の京都滞在時のコワーキングスペースの拠点となることを発表しました。
2022年の4カ月のアジアトラベルプランでは、デジタルノマドに人気の高い、ベトナムのハノイ、タイのチェンマイ、インドネシアのバリ、日本の大阪を巡る予定で、12,000ドルの料金が設定されています。
新しいリトリートプログラムも開始
リモートイヤーは2020年10月に、ノマド向けに世界各地で様々な現地体験やウェルネスアクティビティを盛り込んだ、お洒落でクールな宿泊施設を展開する企業「セリーナ(Selina)」の傘下に入りました。
リモートイヤーは主にこのセリーナの施設を利用して、自然豊かな場所で自分を見つめ直す1週間の「リトリート」プログラムも開始。プログラムにはファシリテーター、毎日のセッションやワークショップ、ウェルネスアクティビティ、宿泊費用、シェフによるヘルシーな食事、文化体験が含まれ、費用は約2,000ドルからとなっています。
パソコンを使って仕事をしながら旅をするデジタルノマドは、時として孤独なもの。リモートイヤーに参加して、様々な国から集まった同志と共に世界中でノマド生活を送るなんて、考えただけでも楽しそうではありませんか。