感動する場所は多いけれど、視点そのものが変わる場所はそう多くはありません。フィリピン・パラワン島北端にあるエルニドは、私にとってまさにそんな特別な場所でした。
東南アジア各地の海洋保護区や野生動物保護施設でのボランティア体験し、観光客が見過ごしがちな繊細な生態系に価値を見出すようになりました。そしてエルニドは、自然が今なお神聖に感じられ、地元コミュニティがその保護に真剣に取り組んでいる、数少ない場所のひとつです。
自然を愛する旅人の目に映るエルニド
私はただエメラルドグリーンの海で泳いだり、白砂のビーチで日光浴したりするためだけにエルニドを訪れたわけではありません(もちろんそれも楽しみました)。この地で体験したのは、観光と環境保全が交差する場所を見つめ、厳重に保護されたサンゴ礁をシュノーケルで探索し、幼魚や渡り鳥が身を寄せるマングローブ林をカヤックで進み、そして地元の人々と共にビーチクリーンアップに参加するという、意味のある時間でした。
このガイドは、バケーションを楽しむためだけではなく、自然との関わりを大切にする探検家、単なるオーシャンビューでは満足しないリモートワーカー、そして楽園は消費するものでなく守るべきだと信じるすべての人に捧げたい内容です。初めてエルニドを訪れる方にも、もっと深くこの島を知りたいリピーターにも、この記事が、感謝と敬意を持って自然と向き合う旅のきっかけとなれば嬉しいです。
エルニドってどこ? どんな場所?
エルニドは、フィリピン西部の細長い島・パラワンの最北端に位置する町で、手つかずの自然が残る絶景の宝庫です。「フィリピン最後の秘境」とも呼ばれるこのエリアは、東南アジアの中でも随一の生物多様性を誇り、石灰岩の断崖、隠れたラグーン、サンゴ礁、マングローブ林、そして固有種の野生動物が共存する、まさに自然の楽園です。
エルニドという町は、バキット湾に点在する45の島と小島を含む自治体で、その魅力は美しい景色にとどまりません。ここでは、静かなラグーンの中にそびえる石灰岩の断崖、海岸近くに広がるサンゴ礁、マングローブ林や鍾乳洞など、まるで大自然の縮図のような世界が広がっています。
また、エルニドはサステナブルな観光のモデル地域でもあります。ビニール袋の使用禁止、指定地域への観光客数の制限、海洋保護区の設定など、環境を守るための取り組みが積極的に行われており、それに共感する世界中の旅人たちが訪れる「責任ある観光地」としても注目されています。
エルニドへの行き方
かつては「秘境」そのものだったエルニドへのアクセスも、近年は格段に便利になりました。それでも都会の喧騒から離れ、少し時間をかけて辿り着くその道のりも、この島の魅力の一部でもあります。
飛行機で行く
最も早くエルニドへアクセスする方法は、AirSwiftが運航するリオ空港(Lio Airport / ENI)への直行便です。マニラ、セブ、クラーク、ボホールなどから毎日運航しており、環境への配慮を前提に設計されたこの空港では、小規模な航空機による運航で排出量も抑えられています。
もっとリーズナブルに旅したい方は、プエルト・プリンセサ国際空港(Puerto Princesa / PPS)を利用するのも選択肢のひとつ。そこからエルニドまではバンまたはバスで5〜6時間ほどの移動となります。
陸路+海路で行く
プエルト・プリンセサからエルニドまでは、バンとバスが頻繁に出ています。バンは所要時間が短くスピーディーですが、車内はやや窮屈。一方、バスは足元も広く、道中の景色を楽しみたい方にはおすすめです。
また、コロン島からフェリーでアクセスすることも可能。北パラワンの穏やかな海を横断する4〜5時間の船旅は、島巡りを楽しむ「スロートラベラー」にも人気です。
エコトラベルのポイント
- 航空機を利用する際は、MyClimateやAtmosfairなどのカーボンオフセットサービスを活用するのもおすすめ。
- プラスチックごみ削減のために、マイボトルやマイカトラリーの持参をお忘れなく。
- 小型機を利用する場合は荷物を軽くまとめると、燃料消費の削減にもつながります。
私自身はプエルト・プリンセサからバンでエルニドへ向かいました。ジャングルの丘を抜け、田園風景が広がる道のりを北上するその旅は、まるで日常からゆっくりと離れていく感覚。窓を開けて流れる風と、隣の旅人たちとの会話。そのすべてが、忘れられないロードトリップになりました。
エルニドのベストシーズンはいつ?

エルニドは一年を通じて訪れることができるトロピカルな気候に恵まれていますが、訪問する時期によってその表情は大きく変わります。以下に、シーズンごとの特徴とおすすめ時期をまとめました。
乾季:12月〜5月
エルニド観光に最も人気があるのが12月~5月の乾季。中でも1月〜4月はシュノーケルやダイビングに最適で、空は晴れ渡り、海は穏やか。アイランドホッピングやカヤック、スタンドアップパドルなどのマリンアクティビティがフル稼働します。
エコポイント:この時期は観光客が集中するため、地元のリソースへの負担も大きくなります。できるだけローカル運営の宿泊施設を選び、リーフセーフの日焼け止めを使うなど、環境に配慮した行動を心がけましょう。
雨季:6月〜11月
この時期は降雨量が増え、特に7〜9月はスコールが頻発しますが、それも長くは続かず、雨の合間に青空が広がることも多いです。観光客が少ないため、静かに自然と向き合いたい方にはむしろおすすめの季節です。
個人的な視点:私は7月にエルニドに滞在しましたが、ほぼ毎日午後には短い雨が降ったものの、朝のビーチは人もおらず、霧が立ち上る断崖と静寂のラグーンに癒される日々でした。観光客のいない楽園を味わえる、特別な時間でした。
月ごとのポイント
- 1月〜3月:アウトドアや海のアクティビティに最適な完璧な気候。
- 4月〜5月:最も暑く乾燥した時期。水分補給をこまめに。
- 6月〜9月:緑豊かな風景、ロマンチックな雨と静かな旅が楽しめる。
- 10月〜11月:天候が安定し始め、静けさと晴天がほどよく共存。
エルニドで体験すべきアクティビティ

エルニドは自然がそのままアトラクション。アドベンチャー好きも、写真映えを狙いたい人も、静かに自然と向き合いたい人も、それぞれに合った楽しみ方が見つかります。
1. カヤックで秘境ラグーンをめぐる
静寂に包まれたビッグラグーンやスモールラグーンを、自分の力でゆっくりと漕ぎ進むカヤック体験は、まるで太古の世界に迷い込んだような気分に。音も匂いもすべてが五感に響く没入感があります。
TIP:ツアーボートから直接レンタルするか、町で前もって借りておくと◎。早朝に出発すると混雑を避けられます。
2. サンゴ礁でのシュノーケル&フリーダイビング
シミズ島、ツインリーフ、カドラオラグーンなど、エルニドの海中はフィリピン屈指の透明度と生態系の豊かさを誇ります。シュノーケル初心者でも楽しめるスポットが多く、フリーダイバーにはマティンロックやタピタン島周辺が人気。
エコメモ:リーフセーフの日焼け止めを使用し、サンゴに触れないことが鉄則。保全意識のある地元ガイドと一緒に回るのがおすすめ。
3. アイランドホッピングツアー(A〜D)
エルニド観光の定番といえばこれ。政府が環境保護のためにツアールート(A, B, C, D)を設定しており、どれも見どころ満載。ツアーAではビッグラグーンやシークレットラグーン、ツアーCではスノーケル向きのクリアな海が堪能できます。
おすすめ:ツアーDは混雑が少なく、静かに島の自然と向き合いたい人にぴったり。小グループやプライベートチャーターが特に心地よい体験になります。
4. 滝トレッキングや絶景ハイキング
町から車で30分ほどのナグカリトカリト滝や、バキット湾を一望するタラウクリフへの登山もおすすめ。前者は田園や森を抜ける短めのハイキングで、後者は急勾配でスリル満点。
注意点:登山は必ずガイド付きで。岩場が多くスニーカー必須です。
5. 野生動物ウォッチング&バードウォッチング
エルニドの森やマングローブ林では、固有種の鳥やコウモリ、サル、時にはウミガメにも出会えることがあります。野鳥観察には双眼鏡と忍耐が必須。
ボランティア体験:私はカドラオ島でウミガメの巣調査に参加し、孵化確認や地元チームとの保護活動に関わることができました。
6. マングローブをSUPで静かに進む
シバルタンやブカナ周辺では、スタンドアップパドルボードでマングローブの水路をゆっくりと探検できます。音を立てずに自然に溶け込む感覚は、旅の疲れを癒してくれる体験です。
7. ラストは絶景ビーチでサンセットタイム
ラスカバナスやナクパンビーチは、夕陽とともに心も静かに落ち着く絶好のスポット。ヤシの木の下でココナッツ片手に波を眺める時間は、きっと一生の思い出になります。
アイランドホッピングツアーA〜Dの違いとおすすめ

エルニド観光の目玉とも言えるアイランドホッピング。観光客が一度は体験する人気アクティビティですが、実はA〜Dの4つのルートがあらかじめ決められており、それぞれに個性があります。旅のスタイルや目的に応じて選んでみてください。
ツアーA:ラグーンと石灰岩の絶景
最も人気のあるルートで、ラグーンを中心に構成されています。インスタ映えする写真を撮りたい方や、カヤック体験をメインにしたい人におすすめ。
- ビッグラグーン:静寂な青の世界。カヤックでのアクセスが基本。
- スモールラグーン:狭いトンネルを抜けて入る神秘的な空間。
- シミズ島:色とりどりのサンゴ礁でシュノーケリング。
- シークレットラグーン:岩の裂け目を通って入る隠れた水辺。
- セブンコマンドーズビーチ:ヤシの木とバレーネットがある社交的な浜辺。
ツアーB:洞窟と砂州、静かな島巡り
ツアーAやCほど混雑せず、文化や地形に興味がある方に人気です。
- スネークアイランド:蛇のようにうねる白砂の砂州。
- クドゥグノン洞窟:文化的価値のある小さな洞窟。
- カテドラル洞窟:船上から見上げる垂直の岩壁が圧巻。
- ピナグブユタン島:映画にも使われたほど美しい景観。
- エンタルラビーチ:人が少なく静かなスイムスポット。
旅メモ:このルートは穏やかでマイペースに楽しめます。写真好きや文化派にもおすすめです。
ツアーC:海好き必見、スノーケラー向きルート
透明度抜群の水中景観と、海洋生物に出会えるルートです。ダイビングやシュノーケルが好きな方は必見。
- シークレットビーチ:岩の隙間を泳いで入る隠れ浜。
- マティンロック聖堂跡:かつての宗教施設と海の絶景。
- スタービーチ:活発なリーフが広がるスノーケルスポット。
- ヒドゥンビーチ:干潮時にのみ見えるドラマチックな白砂。
- ヘリコプター島:空撮でも人気の形状と多様な生態系。
ツアーD:静寂と癒しを求める人に
あまり知られていないルートですが、その分混雑が少なく、穏やかな島時間を楽しみたい人にぴったりです。
- カドラオラグーン:穴場的存在のラグーン。カヤックに最適。
- パサンディガンビーチ:波も穏やかで読書や浜辺の散歩に最適。
- パラダイスビーチ:名前の通りの静かな美ビーチ。
- イピルビーチ:ピクニックやゆったり泳ぐのにぴったり。
旅のヒント:このツアーはプライベートチャーターや少人数での参加がベスト。自然と静かに向き合いたい方に。
エルニドのおすすめビーチ

エルニドには、有名なアイランドホッピング先以外にも、個性的で魅力的なビーチが点在しています。静かな読書時間を過ごしたい人も、シュノーケルを楽しみたい人も、自分に合った“お気に入りの一枚”が見つかるはず。ここでは、目的別に訪れるべきビーチをご紹介します。
1. ナクパンビーチ(Nacpan Beach)
エルニド本島でも特に有名なビーチで、約4kmに渡る黄金の砂浜が広がります。「ツインビーチ」として知られるカリタンビーチとセットで訪れる人も多く、壮大な景色と静けさを同時に楽しめる場所です。
おすすめポイント:
- 長距離のビーチウォークやのんびり読書に最適
- 地元の売店でココナッツや軽食も購入可能
- サンセットがとにかく美しい
TIP:日中は非常に暑くなるので、朝または16時以降の訪問がおすすめ。
2. ラスカバナスビーチ(Las Cabanas Beach)
町から15分ほどの距離にあり、ローカルにも旅行者にも人気のビーチ。サンセットタイムには、カクテル片手にハンモックでくつろぐ人々でにぎわいます。
おすすめポイント:
- サンセット観賞に最適
- 浜辺沿いにエコ志向のバーやカフェが点在
- 音楽やイベントがある日も多く、交流にも向いている
TIP:夕方前に到着して、ベストスポットを確保しよう。
3. デュリビーチ(Duli Beach)
北部に位置する、サーファーの隠れ家。シーズン(11〜3月)になると、波が安定し、初級〜中級者向けのサーフィンが楽しめます。それ以外の季節は人影もまばらで、静寂に包まれます。
おすすめポイント:
- サーフィンができる数少ないエリア
- 野生動物との遭遇率も高め(トカゲや野鳥など)
TIP:水やスナックを持参しよう。設備が少ないため準備が肝心。
4. リオビーチ(Lio Beach)
空港近くにあり、家族連れやリモートワーカーにも優しい整備されたビーチ。アートショップやローカルカフェがありながら、混雑感が少ないのが魅力です。
おすすめポイント:
- 滞在施設やカフェが充実
- 夕方にはアコースティックライブもあり
- パドルボード体験もできる
TIP:ゆったり過ごしたい方は平日の昼間が狙い目。
5. セブンコマンドーズビーチ(Seven Commandos Beach)
ツアーAの一部として訪れることが多い、ボートでしか行けない小さな入り江のビーチ。柔らかい白砂と透き通る海が魅力。
おすすめポイント:
- バレーネットや売店あり、社交的な雰囲気
- 海の透明度が高く、シュノーケリングも可
TIP:11〜14時はツアー客で混雑しやすいため、それ以外の時間帯に訪れるのがベター。
6. パパイヤビーチ(Papaya Beach)
セブンコマンドーズのすぐ隣に位置し、より静かに過ごせる穴場的存在。浅瀬でもカラフルな魚が見られるほどの透明度です。
おすすめポイント:
- 波が穏やかで泳ぎやすい
- 人が少なく、落ち着いた時間が過ごせる
TIP:シュノーケルセットを持参し、岸からすぐのリーフを探索してみましょう。
7. ラーゲン島ビーチ(Lagen Island Beach)
高級リゾート宿泊者向けのプライベートビーチですが、日帰り利用やイベント参加などでもアクセス可能。静寂と美しさを極めた場所です。
おすすめポイント:
- プロテクトされた入り江で水質が非常に良い
- マングローブや自然観察とセットで楽しめる
TIP:宿泊またはアクティビティ付きプランで訪れるのがおすすめ。
エルニドの海洋生物とサンゴ礁
エルニドの魅力は、ビーチやラグーンだけにとどまりません。水面の下には、世界有数の海洋生物多様性を誇る「コーラルトライアングル」の一角が広がっており、ダイバーや海洋生物好きにとってはまさに“水中の楽園”です。
私はボランティアとしてリーフモニタリングにも参加しましたが、色とりどりのサンゴ、再生の兆しを見せるエリア、そしてその周囲に群れる無数の魚たちは、まさに「生きている海」そのものでした。
エルニドのおすすめシュノーケリングスポット
- シミズ島:初心者におすすめの浅瀬リーフ。スズメダイやカクレクマノミに出会えます。
- ツインリーフ:透明度が高く、ウミガメとの遭遇率も◎。
- カドラオラグーン:混雑しにくく、ソフトコーラルが豊富。
- スタービーチ(ツアーC):中級者向け。プレート状のサンゴ群が広がります。
- ヘリコプター島:岩礁地帯にはエイやサメが出ることも。
TIP:有名スポットの合間にある「無名リーフ」も狙い目。ガイドにお願いして立ち寄ると、思わぬ穴場に出会えるかもしれません。
見られる主な海洋生物
- アオウミガメ
- カクレクマノミ(ニモ)
- ツノダシ、ツバメウオ
- シャコ貝や巨大なヒトデ
- サンゴ礁サメ(ブラックチップ、ホワイトチップ)
- マダラトビエイ、ウミウシなど
ダイビングスポットも充実
エルニドはコロンほどのダイビング知名度はありませんが、実は30以上のダイブポイントがあり、初心者にも適した穏やかな海域が豊富です。
- サウスミニロック:ソフト&ハードコーラルの混在地帯。スナッパーの群れが見られることも。
- ノースロック:マクロ派に人気。ウミウシや小型エビが豊富。
- ディルマカドトンネル:島の内部をくぐる珍しい地形ダイブ。
環境への配慮が徹底されたダイブショップが多く、PADI/SSI認証を取得している店舗を選ぶのが安心です(例:El Dive, Palawan Divers, Submarinerなど)。
サンゴ保全の取り組み
- アンカー使用禁止(全船にブイ係留が義務化)
- サンゴや貝の持ち帰り・接触禁止
- 魚への餌付け禁止
- 日焼け止めはリーフセーフ製品のみ
地元の漁師やダイバーが“リーフレンジャー”として活動しており、サンゴのモニタリングや海洋教育にも貢献しています。
体験談:私は海洋生物学者と一緒にサンゴの再生状況を測定し、海草の分布を地図化するリーフチェックに参加しました。ウミガメの足跡を初めて見つけた時の感動は、今でも忘れられません。
責任ある旅:エルニドのサステナブル・ツーリズム

手つかずの自然に恵まれたエルニドは、観光によってその美しさを失うリスクも抱えています。しかしこの町は、保全と観光のバランスを模索し、規制と教育を通じて持続可能な地域づくりを目指しています。
私がボランティアとして滞在した間、特に印象的だったのは、地元の若者やツアー運営者が環境教育に力を入れていたこと。プラスチックの使用削減やマングローブの再生、リーフチェックなど、住民が主導となった取り組みがしっかりと根づいています。

- 人気ラグーンや島々への訪問者数制限
- アンカー使用禁止。すべての船はブイ係留を義務化
- プラスチック製品の使用禁止(マイボトル・バッグ持参推奨)
- サンゴや魚に触れたり餌を与えたりする行為の禁止
- サンゴ礁に有害な成分を含まない日焼け止めの使用義務
- 宿泊施設や観光業者によるごみ処理監査の実施
これらのルールは、かつての無秩序な観光が環境に与えた影響への反省から生まれたものであり、今ではリーフの健康状態も改善し、水質検査も継続的に行われています。
旅行者としてできること
- エコ認証を受けたツアー会社を利用する
- フィルター付き水筒やマイカトラリーを持参する
- ソーラー発電やコンポストトイレを導入している宿を選ぶ
- 地元の食堂や土産店を積極的に利用し、チップも忘れずに
- 混雑する時間帯の観光を避けて、自然や地域への負担を減らす
- ダイビング前後に自然保護やサンゴの話を聞く「ミニ講座」に参加する
エルニドの注目すべきエコ活動
- El Nido Foundation:環境教育、植林活動、地域開発プロジェクトを推進。
- El Nido Marine Monitoring Project:地元住民を巻き込んだサンゴ礁の保護・モニタリング活動。
- プラスチックフリー・ツアー:環境意識の高いボート業者によるツアー。予約時に確認を。
- SEA(Sustainable El Nido Adventures):Leave No Trace(自然に痕跡を残さない)を実践するガイドのネットワーク。
印象に残った体験:ある朝、カドラオ島の沖でカヤックを使った海岸清掃に参加しました。たった1時間で、ビーチサンダルや小さなパッケージがぎっしり入った袋が2つ分。静かな海にただ浮かびながら、環境への“借り”を少しだけ返せたような気がしました。
エルニドのサステナブルな宿泊先とエコステイ

エルニドには、自然と調和した滞在を実現できるサステナブルな宿泊施設が多数あります。単に「泊まる場所」ではなく、「地域や自然とつながる場」としての役割を担う場所。ここでは、ラグジュアリーからバックパッカー向けまで、エコ意識の高い宿泊先をご紹介します。
エコリゾート&サステナブルリトリート
El Nido Resorts(ミニロック島、ラーゲン島、パンガラシアン島)
- エルニドにおける高級エコツーリズムの先駆け。
- 100%ソーラー発電、廃水処理、マングローブ植林などを実施。
- 宿泊費の一部は海洋保護活動や教育支援に還元。
The Birdhouse El Nido
- バキット湾を一望できるグランピング型宿。
- コンポストトイレ、ソーラー照明、ヨガデッキ完備。
- ローカルスタッフとスローライフを実践する夫婦が運営。
Qi Palawan
- 静かな北東部に位置する隠れ家的エコリゾート。
- ウィンドサーフィンやヨガ、ファームトゥテーブルの食事提供。
- 地元漁村支援やマングローブ再生にも貢献。
ミドルクラスで環境意識の高い宿
Frangipani El Nido
- 地元素材で作られた家具やオーガニックアメニティが魅力。
- 海岸清掃やリーフ教育に積極的に関与。
Spin Designer Hostel
- ソーシャル&エコをテーマにしたスタイリッシュなホステル。
- 給水リフィル、リサイクル分別、ごみゼロワークショップなどを提供。
El Nido Overlooking
- 無垢材と眺望が魅力のインフィニティプール付き宿。
- 静かに滞在したい人向けで、宿泊費の一部は自然保護団体へ寄付。
バックパッカー向けのエコ宿&ローカルホームステイ
Mad Monkey Hostel El Nido
- ソーラー発電、地域雇用、地元学校支援などを実施。
- 清掃イベントや社会貢献型パーティも開催。
Kape ni Manang Guesthouse
- 地元の家族が運営する少人数制ゲストハウス。
- オーガニック料理、庭のハーブ、地域イベント参加が魅力。
Lolo Oyong Pension House
- 町の中にあるシンプルで居心地の良いペンション。
- 手作り石鹸の販売や地元工芸品の紹介もあり。
エルニドの宿選びでは、値段だけでなく、環境への配慮や地域とのつながりを意識して選ぶと良いですね。
リモートワークにも最適!エルニドのノマド向けガイド

エルニドは一見「ノマドの拠点」というイメージからは遠いかもしれませんが、だからこそ特別な体験ができます。ビーチサイドのカフェが「オフィス」になり、昼休みにはラグーンで泳ぎ、夕方には地元の人と一緒にビーチを掃除する。そんな日常が、この島では可能です。
インターネット環境について
以前は「Wi-Fiが弱い」という声も多かったエルニドですが、近年では大きく改善。特にコロン・コロン地区やリオビーチ周辺では、LTE接続が安定しており、ビデオ通話やクラウド作業も問題ありません。多くのカフェやエコリゾート、ホステルがWi-Fiを完備しているほか、コワーキングスペースも少ないですがあります。(参考:エルニドのコワーキングスペース)
ノマドに人気の作業スポット
Niegbors and Nomads:エルニドで最新のノマド拠点、設備の整ったコワーキングスペースと、ルーフトップカフェが魅力。
Lexias El Nido:専用のコワーキングスペースがあるホステル。サステナビリティ系のミートアップも開催。
Masayana:ブティックホテルの中にあるコワーキングスペース。
Hama Coffee:ネット環境が安定しているビーチサイドのカフェ。休憩中に海へひと泳ぎも可。
ノマド的1日の過ごし方
- 朝:ヨガで一日をスタート、その後コワーキングスペースで集中作業。
- 昼:海でひと泳ぎ、またはローカルフードをテイクアウト。
- 夕方:他のノマドと一緒にサンセットチルやエコイベントへ。
ノマドに役立つヒント
- ポータブルバッテリー&データ対応SIMを持参(Globeの方がSmartより安定)
- 長期滞在にはファイバー対応またはポケットWi-Fi完備の宿を選ぼう
- 昼の時間帯は通信が不安定な場合もあるため、オンライン会議は朝または夕方に
- コリビングも検討を。ノマド同士の出会いやコラボが自然に生まれやすい
エルニドでのリモートワークは、「働く」というよりも、「自然と調和しながら生きる」感覚に近いかもしれません。忙しさの中でも心の余白を大切にしたい方に、ぴったりの場所です。
エルニドで味わうローカルグルメとエコレストラン
エルニドには、家族経営の食堂から意識高めのおしゃれなカフェまで、小規模ながら想像以上に配慮の行き届いたダイニングシーンが広がっています。
ここエルニドで多くの飲食店が、使い捨てプラスチックの廃止、食品廃棄物の堆肥化、地元食材の活用など、環境への配慮を実践している姿には感動すら覚えました。
エルニドで注目のエコ・レストラン
Shaka El Nido:健康志向の先駆け的カフェ。スムージーボウルやヴィーガンラップ、スーパーフードラテが人気。コンポスト対応ストロー使用、プラスチックゼロ、浄水リフィルあり。
Taste El Nido – The Vegan Café:100%植物性メニュー。バナナブロッサムバーガー、ココナッツカレー、ローカカオトリュフなど。地元農家を支援し、ゼロウェイストイベントやサステナビリティのワークショップも開催。
Altrove:薪窯ピザと手打ちパスタが有名なイタリアンビストロ。ペーパーメニュー、再利用可能な瓶、ウミガメ保護支援などを導入。
Gusto Gelato:季節のトロピカルフルーツと乳製品代替を使用した手作りジェラート。コンポスト可能なカップと木製スプーンで提供。
Happiness Beach Bar:地中海風のタパスとベジタリアンメニューを、ビーチ沿いでリラックスしながら。竹製ストロー、ペットボトル水の不使用、ビーチクリーン活動への支援あり。
ローカルが愛する味わい
Kape ni Manang:地元家族が営む静かな朝食スポット。焼きたてパンデサル、有機コーヒー、シナンガグ(フィリピン風ガーリックライス)が自慢。家具は再利用品、野菜は自家菜園から。
Tambok’s El Nido:ジャックフルーツのアドボやココナッツジンジャーティノラなど、伝統料理にひとひねり加えたメニュー。季節と地元に根ざした食材選びが徹底されています。
Big Bad Thai:屋上のタイレストラン。サステナブルな取り組みに積極的。サンゴ礁教育プログラムの支援、スタッフの持続可能なサービス研修も実施。
エコダイニングの心得
- 「ストローは結構です」と伝えよう(すでに不要な店も多い)
- テイクアウトには自前の容器(ティフィン)を持参
- チップを忘れずに。多くのスタッフは家族を支えています
- ボトル水より、浄水リフィルを選ぼう
- 野菜中心のメニューは環境負荷も少なく、満足感も◎
心に残ったひととき:ビーチ沿いの小さな小屋カフェで、キャンドルの灯りの中いただいたディナー。メニューはなく、その日釣れた魚をバナナの葉で包んで焼いただけ。でも、オーナーが笑顔で庭の話をしてくれ、帰り際にはカラマンシーをお土産にくれました。言葉を超えたやりとりの中に、旅の本質がありました。それが、エルニドらしさなのだと思います。
エルニドのモデルコース(3日間・5日間・10日間)

週末旅行から数週間の滞在まで、エルニドはその柔軟なリズムで、冒険、癒し、スロートラベルのいずれも選べる場所です。エココンシャスで没入型の旅が好きな私にとって、これらのモデルプランは、「環境を意識した旅」と「冒険」のバランスを考えて作ってみました。
3日間のエコ・アドベンチャー:初めて訪れる方や週末旅行でエルニドを体験したい人におすすめ
Day 1
- エルニド到着後、サステナブルなゲストハウスにチェックイン
- ラスカバナスビーチでのサンセットとゼロウェイストカクテルを堪能
- ヴィーガン対応のTaste El Nidoでディナー
Day 2
- アイランドホッピング・ツアーAに参加(ビッグラグーン、シミズ島、シークレットラグーンなど)
- モーター付きボートではなく、できるだけカヤックを活用
- シュノーケリング
- Altroveやビーチグリルでの夕食
Day 3
- 朝はナグカリトカリト滝へのハイキング
- マングローブ林訪問またはパドル清掃活動に参加
- 出発前にKape ni Manangで地元コーヒーとゆったりした時間を
5日間のバランス探索プラン:エルニドをよりディープに楽しみたいトラベラーにおすすめ
Day 1〜2
- 3日間プランをベースにしながら、アイランドホッピングのツアーAとCの組み合わせを楽しむ
- 2日目の夜はビーチボンファイヤーや地元ライブミュージックの夜を満喫
Day 3
- 丸一日オフライン。海洋センターでボランティア、またはリーフクリーンアップに参加
- オプション:The BirdhouseやQi Palawanでの瞑想やヨガクラスに参加
Day 4
- バイクをレンタルして、ナクパンビーチやデュリビーチへドライブ
- サンセットスイム後は、地元のサリサリストアでココナッツジュースを楽しむ
Day 5
- 早朝にカドラオラグーンでカヤック体験
- タウンマーケットでランチ&お土産ショッピング
- 出発、または浜辺でのんびり本を読みながら過ごす
10日間の没入型エコ体験:デジタルノマド、長期滞在のバックパッカー、環境意識の高い旅人
Day 1〜3
- 3日間のモデルプランをベースに。夜は日記を書いたり、ノマドミートアップに参加したり、フィリピン語の基礎を学んだりして過ごす
Day 4〜6
- ツアーBに参加し、スネークアイランドやピナグブユタンなどの穴場を発見
- マリンバイオロジストと一緒にシュノーケルやダイビングを体験
- シバルタンやリオへの日帰り旅行で違ったローカルの雰囲気に触れる
Day 7〜8
- ウミガメ保護やマングローブ植林プロジェクトに2日間ボランティア参加(El Nido Foundationに確認)
- ネストの記録、ビーチ清掃、現地のエコリーダーからの学びもあり
Day 9
- LexiasやLioエリアのコワーキングでオンライン業務
- マッサージやサンセットSUPで心身を整える
Day 10
- リオビーチまたはコロン・コロンでのんびり朝時間
- 出発前に友人や滞在先のスタッフとランチを共にし、旅を締めくくる
10日間あれば、探検だけでなくエルニドという場所に深く染み込んだ旅ができるはずです。
エルニド旅行のヒント

エルニドは間違いなく美しい場所ですが、交通やインフラにおいてはベテラン旅行者でも驚く点があります。ここでは、現地での移動方法からエコな工夫まで、準備を整え、つながりを保ち、環境への影響を抑えるための実用的なアドバイスをまとめました。
移動手段
- 町中の移動にはトライシクルが一般的。エルニド中心部からコロン・コロンまでは50〜100ペソ程度。
- ナクパンやデュリ、北部沿岸を巡るならバイクレンタルがおすすめ。1日500〜700ペソが相場。
- エコメモ:必ずヘルメットを着用し、雨季はオフロード走行を避けましょう。道の浸食や自然破壊を防ぐためです。
インターネットと通信
- 最もWi-Fiが安定しているのはコロン・コロン、リオビーチ、選ばれたエコリゾート。
- モバイルデータ(GlobeとSmart)はメールやSNSに十分。Globeの方がやや優勢。
- リモートワークをするなら、ファイバー接続を謳うカフェやコワーキングスペースを利用しましょう。
お金のこと
- 現金は多めに持参を。ATMは数が少なく、週末などは現金切れになることも。
- 大半の地元店は現金のみ対応。ただし一部のリゾートやカフェではカードやGCashが利用可能。
- ATMはリオエステートやエルニド公設市場近くにあり。到着後すぐに引き出しておくのが安心。
持ち物リスト
- 再利用可能な水筒&竹製カトラリー(プラスチック禁止の地域あり)
- ドライバッグ&防水スマホケース(ツアーに必須)
- 速乾性タオル&リーフセーフ日焼け止め
- ラッシュガードや長袖(紫外線対策)
- 軽量レインジャケット(雨季には特に)
- 無害タイプの虫除け
環境への配慮マナー
- アイランドツアー中のごみは必ず持ち帰ること(島にはゴミ箱がほとんどありません)
- サンゴの上に立ったり触れたりしない(リーフシューズでもNG)
- ラグーンやリーフ周辺での石けん・シャンプー・ローション使用は避ける(生分解性でも×)
ナビゲーションのコツ
- オフライン対応のMAPS.MEやOrganic Mapsを活用すると、ハイキングコースや秘境ビーチも迷わず行けます。
- 携帯電波が急に途切れることがあるため、搭乗券やホテル予約、ツアー詳細などは事前にダウンロードしておくのがベター。
文化的な配慮
- 現地の人は控えめで親切、そして自分たちの土地を誇りに思っています。少しのタガログ語で距離が縮まります。
- “Salamat po” = ありがとう
- “Magandang umaga” = おはよう
- “Ingat ka” = 気をつけて
- 町や村、市場などを訪れる際は、露出の少ない服装を心がけましょう。
- 輸入品よりも、地域コミュニティが運営するツアーや地元職人の品を選ぶのがおすすめ。
旅人としての心構え:本当に素晴らしい旅人とは、謙虚で、準備ができていて、心を開いている人だと思います。エルニドでは、良きゲストであるということは単にチップを払うことではなく、「来た時よりも美しくして帰る」姿勢を持つこと。そこに生きる人々やすべての命に敬意を持って接することが、本当の旅の醍醐味なのだと思います。
日帰り旅行と隠れたスポット
エルニドのラグーンやアイランドツアーは多くの旅行者を惹きつけますが、本当の魔法は観光ルートのすこし外れた場所に潜んでいることも。こうした知られざるエリアに足を運ぶことで、人の少ない静けさと、より深く繊細なパラワンの姿に触れることができます。
エコトラベラーとして、私はSNSで話題のスポットよりも、地域に根ざした景観や人々の暮らしに興味があります。こうした旅先でこそ、本物の学びと感動が得られるのです。
シバルタン:東海岸の隠れ里
エルニドの町から車で約90分、朝日が昇る東側に位置する静かな村。風に吹かれる広々としたビーチと、浅瀬の海、のんびりとした空気が流れるスローな空間です。
- カイトサーフィン、朝ヨガ、ニパハットの下での読書に最適
- 小さな「シバルタン遺産博物館」で、オーストロネシアのルーツや古代の船造り文化に触れられる
- エコハットに宿泊したり、マングローブの植樹活動に参加することも可能
クヤウヤウ滝
Brgy. Catabanの村の奥地にある、3段に分かれた滝。淡水のプールがあり、泳ぐのにぴったりです。
- ガイド付きの森の中のハイキングで、片道30〜45分ほど
- 昼前の訪問がおすすめ。日差しが強くなる前に到着を
- ドライバッグ必須。ゴミ箱がないため、ゴミは必ず持ち帰りましょう
デュリビーチ&サーフシャック
町のビーチよりも静かで、サーファーには知られた存在。11月〜3月のシーズンには、安定した小波が楽しめます。オフシーズンは静かな“金色の孤島”に。
- サーフボードのレンタルやレッスンはローカルのシャックで可能
- 空を舞うワシを眺めたり、誰にも会わずに数時間歩けるほどの静けさ
マキニット温泉
石灰岩の山脈の裏手に隠された、素朴な石造りの温泉。密林に囲まれた静寂な癒し空間です。
- ハイキングやバイクツーリングの後、午後遅めの訪問がベスト
- クヤウヤウ滝とセットで回ると、充実の内陸エコ冒険コースに
ダロコタン島
エルニドの北に位置する、ボートでのみアクセス可能な小島。小さな漁村と静かなエコリゾートが数軒あるのみの秘境です。
- 沿岸に沈む船の残骸は、シュノーケリングに最適なスポット
- 売店やツアーはなく、乾き物やスナック、マイスノーケルセットを持参するのが鉄則
パーソナルなアドバイス
持ち物は軽く、行動はゆっくり。このような日帰り旅行は単なる“寄り道”ではなく、パラワンの暮らしと自然に深く入り込む“入り口”なのです。急がず、現地の人と話しながら旅をすると、思いがけない場所に招かれることもあります。
エコトラベラーのためのエルニド予算ガイド
エルニドには、バックパッカー向けのホステルからエコラグジュアリーリゾートまで、あらゆる予算に対応する宿泊施設や体験が揃っています。サステナブルな旅を目指すなら、高価である必要はありません。むしろ、地元の家庭にホームステイしたり、カリンデリア(大衆食堂)で食事をしたりといった“最も倫理的”な選択肢こそ、実は最もお得だったりするのです。
日々の予算は旅のスタイルによって異なりますが、ここではエコ志向の旅行者に向けた予算の目安をご紹介します。
バジェット派(₱1,500〜₱2,500/1日あたり 約¥3,800〜¥6,300)
- ドミトリーまたはシンプルなホームステイ:₱500〜₱1,000
- 食事(カリンデリアや屋台):₱200〜₱400
- バイクレンタルを2人でシェア:₱250〜₱300
- グループでのアイランドホッピング(ツアーAまたはC):₱1,200〜₱1,400
ミドルレンジのエコトラベラー(₱3,000〜₱6,000/1日あたり 約¥7,500〜¥15,000)
- 環境配慮型ゲストハウスの個室:₱1,500〜₱3,000
- サステナブルなレストラン(Shaka、Taste、Altroveなど):₱600〜₱1,000/日
- 5日間で2回程度のアイランドツアー:₱2,800〜₱3,000
- オプションでヨガやマッサージ:₱500〜₱800
エコラグジュアリー(₱7,000以上/1日あたり 約¥17,500〜)
- ソーラーパワーや保全活動付きのリゾート:₱6,000〜₱20,000以上
- プライベートまたはカスタムツアー:₱3,500〜₱7,000
- 宿泊施設内でのウェルネス体験(ヨガ、スパ、ワークショップなど)
アクティビティの料金目安
- カヤックレンタル(半日):₱300〜₱500
- SUP(1時間):₱500〜₱700
- ガイド付きハイキング:₱800〜₱1,200
- トライシクル(市内移動):₱50〜₱100/1回
- コロン島とのフェリー:₱1,800〜₱2,200
お金を節約しながら地球にも優しいヒント
- 友人と一緒に旅をして、バイクやトライシクルをシェアしよう
- カフェの給水スポットでボトルをリフィルして、ペットボトルを減らそう
- 野菜中心またはヴィーガン料理を選べば安価で環境負荷も少ない
- 食事や宿の代わりに、寄付制の自然保全活動に参加してみる
- 長期滞在の予定があるなら、ボランティア割引を提供しているホステルに問い合わせよう
体験談:最も印象に残っているのは、地元の農家とマングローブについて語り合った時間や、誰もいないビーチまでのハイキングでした。どちらも無料、もしくはほんの数十ペソ。エルニドで“意識ある旅”をすることは、我慢することではなく、「何にお金を使うか」を見直すことだと思います。それが、人や自然、そして意味のある体験に投資するということなのです。
エルニドの人々と文化
エルニドに暮らす人々の多くは、タグバヌア族、クヨノン族、ビサヤ系のルーツを持ち、パラワンやフィリピン中部に深く根ざした文化背景を持っています。多くの家族は、漁業、農業、小規模な観光業、あるいはそのすべてを組み合わせて生計を立てており、「自然への敬意」はこの地域では何世代にもわたって受け継がれてきた価値観です。
本物のホスピタリティ
エルニドの人々のもてなしはとても温かく、見せかけではありません。地元の習慣に興味を示したり、タガログ語の簡単なフレーズを話したりすると、コーヒーや軽食(メリエンダ)をごちそうしてくれる家庭も珍しくありません。
市場と日常風景
エルニド公設市場に足を運ぶと、この町の素顔が見えてきます。早朝から活気に満ちたこの市場では、まだ跳ねている魚、バナナの葉で包まれた山菜、手作りのおやつ「スーマン(もち米の葉包み)」などが並びます。
エコ志向の旅行者にとっては、プラスチックフリーなおやつや熱帯フルーツ、地元産の酢や干物などを購入できる場所としても魅力的。ローカル食材でピクニックを楽しむのにもぴったりです。
文化的な習慣や信仰
- 多くの家庭では、カトリックとアニミズム(自然信仰)の融合した信仰スタイルが根づいています。
- 漁を行う前の儀式、月の満ち欠けに合わせた農作業、聖なる自然の場所への敬意など、自然との共生が今も生活に息づいています。
- 「バロト・レガッタ(アウトリガー船のレース)」のような地域祭りでは、海の技術やコミュニティの誇りが表現されます。
丁寧につながるために
- 簡単なあいさつを覚えましょう:「Magandang araw(こんにちは)」「Salamat(ありがとう)」など。
- ココナッツ製品やかごなど、地元の職人が作る手工芸品を応援しましょう。
- 特に観光地でない村やローカルエリアでは、人を撮影する前に必ず許可を取りましょう。
- 料理教室、コミュニティツアー、ストーリーテリングイベントなどがあれば、ぜひ参加してみましょう。
心に残る文化体験
一番印象的だったのは、ビーチではなく、地元の女性たちと一緒に竹で魚用の罠を編んだ日のこと。言葉はあまり通じなくても、手振りと笑顔だけで気持ちは伝わりました。最後にはおやつを一緒に食べながら、まるで昔からの友人のように過ごせたのです。こうした文化的な交流は、エコトラベルのもう一つの大切な側面——“人とのつながり”を思い出させてくれます。
エルニドのボランティアと自然保護活動

「写真を撮るだけでなく、何かを還元したい」と考える旅人にとって、エルニドはまさにその想いを形にできる場所です。海洋保護や動物救助、地域の子どもたちへの教育支援まで、エルニドにはさまざまな環境・コミュニティ重視の活動が存在します。自然保全の視点を持って旅をする私にとって、ここは特別なインスピレーションの源。ほんの数日でも関われば、環境だけでなく、自分自身にも深い変化をもたらしてくれるはずです。
主なボランティア機会
1. 海洋保全&サンゴ礁の再生
- El Nido Foundation や LAMAVE(大型海洋脊椎動物研究所)などと連携
- サンゴチェック、コーラルナーサリーの維持、水質サンプル採取、ウミガメやエイなどの海洋生物データ記録などに参加可能
2. マングローブ再生
- シバルタン、ニューイバハイ、ビラパズなどでの植樹活動に参加
- 海岸線の保護、炭素の隔離、海洋生物の生息地としての役割を果たす重要な取り組み
3. ビーチ&水中清掃活動
- 多くのダイブショップやツアー会社が定期的に清掃イベントを実施
- 最近では、カヤックで静かな入り江を回ってごみを集める「パドルクリーンアップ」も注目されています
4. 動物保護&教育支援
- 地元の独立系団体が、犬猫や傷ついた野生動物の保護を行っています
- 基本的なケアや給餌、学校への環境教育サポートなどを手伝えます
5. サステナブル農業&地域菜園
- 地元の農場では、短期の手伝いを受け入れることも。食事やエコ学習と引き換えに参加可能
- パーマカルチャー設計、コンポスト作業、在来種の植え付けなどを体験できます
参加方法
- エコリゾートやダイブショップに直接問い合わせると、信頼できる草の根団体を紹介してもらえることが多いです
- Workaway や Worldpackers などのボランティアマッチングサイトでも短期案件を検索可能
- Corong-Corong や Lio のカフェやホステルに掲示されているボランティアイベント情報も要チェック
期待できること&持ち物
- 多くの活動はインフォーマルで、地域の信頼関係に基づいています。積極的な姿勢とオープンな心が大切
- グローブ、マイボトル、リーフセーフな装備は持参しましょう(現地リソースは限られているため)
- 証明書や肩書きは得られませんが、それ以上に価値ある“つながり”や“使命感”を得ることができます
個人的な体験談:私は、タグバヌア族のレンジャーチームと一緒に、ウミガメの巣の調査に参加しました。孵化確認を行い、色分けされた棒とラミネート地図を使って巣を記録。携帯の電波も届かない浜辺で、ただ観察し、協力し、「今この瞬間」に深く向き合う。そんな時間が、心の中に長く残る体験になりました。
環境問題と旅行者ができること
エルニドの美しさは、そのまま祝福であり、同時に課題でもあります。観光客の増加に伴い、サンゴ礁、淡水資源、廃棄物処理システム、そして伝統的な生活様式にまで、さまざまなプレッシャーがかかるようになりました。一定の改善は見られますが、生態系はいまだ繊細で、「保全」と「人気」の間のバランスは非常に脆いのが現状です。
私がボランティアとして活動した中で、海岸に戻ってきたウミガメの姿や、再生し始めたサンゴ礁を見ることができました。その一方で、マングローブに引っかかるペットボトルや、ツアー後にあふれるゴミ箱も目にしました。この島の再生は始まっている——でもそれには、私たち一人ひとりの行動が必要です。
エルニドが抱える主な環境課題
1. 海洋生態系へのストレス
- 過度なシュノーケリング、アンカーによるサンゴ破壊、日焼け止めの化学物質などが過去に大きなダメージを与えてきました。
- 現在は係留ブイや規制が整備されつつありますが、事業者によって遵守レベルに差があります。
2. 廃棄物管理の問題
- プラスチック禁止条例があるにもかかわらず、安価なツアーなどでは使い捨てアイテムが依然多く使われています。
- 離島ではごみ処理設備が不十分で、焼却や埋立に頼らざるを得ない場面も。
3. 淡水資源の不足
- 乾季には水不足が深刻化。観光需要の増加は、現地住民の生活用水を圧迫することがあります。
4. 土地開発による自然破壊
- 無秩序なリゾート建設が森林や崖、ビーチにまで及び、一部地域では浸食や生態系の喪失が進んでいます。
5. 気候変動とサンゴの白化
- 海水温の上昇や台風の増加により、サンゴの白化が発生。今後は地域主体のリーフ保護がますます重要になります。
旅行者にできる6つのこと
1. 信頼できるツアー会社を選ぶ
- 再利用容器を使い、エコガイドが同伴し、ブイ係留を実施している業者を選びましょう。
- ツアー予約時には質問を。あなたの1ペソが大きな投票となります。
2. プラスチックを徹底的に減らす
- マイボトル、竹製カトラリー、エコバッグ、リーフセーフのトイレタリーを持参。
- ストローや小分けパック、ペットボトルは「ノー」と伝える勇気を。
3. 野生動物を尊重する
- 海洋生物を追いかけたり、触ったり、餌をあげたりしない。
- ウミガメ、鳥、オオトカゲには適切な距離を保ちましょう。
- 貝殻やサンゴ、砂を持ち帰らないこと。
4. 水と電力の節約
- シャワーは短めに、タオルは再利用、不要な照明やファンはオフに。
- 雨水利用やソーラー電力導入の宿を選びましょう。
5. 意識を共有しよう
- 写真だけでなく、自分の気づきもSNSなどで発信。
- ローインパクトな旅の選択肢を広めましょう。
- 環境保護に積極的な事業者を紹介して、彼らを応援しましょう。
6. 地元に貢献する(参加・寄付)
- 数時間でも構いません。ビーチ清掃、マングローブ植林、NGOへの寄付など、できることはたくさんあります。
- 特にEl Nido FoundationやLAMAVEなど、現地密着型の団体への支援は効果的です。
エルニドが教えてくれたこと

エルニドは、ただの“目的地”ではなく、“気づきの場”です。
磨き上げられた贅沢さがなくても、透き通る海と石灰岩の崖には、それだけで深い意味があります。そして旅は、どれだけの場所を制覇したかではなく、どれだけその場所に変えられたか——それを実感できるのが、この島なのです。
私にとってエルニドは、何カ所ラグーンを訪れたかではなく、どんな風にこの土地と関わったかがすべてでした。マングローブ林の中をゆっくり歩き、ウミガメの目撃談を語る漁師と話し、落ちていたゴミを拾う——それは、環境活動というより、旅の一部として自然にできたことでした。
エルニドは私たちに「軽やかに歩いてほしい」と語りかけてきます。「目的意識を持って旅してほしい」と。「急がず、驚きを見つめてほしい」と。
この島がくれるのは、絶景以上の何か。きっと、あなたの心に残り続ける物語です。