海外ノマドにおすすめの国を調べたとき、必ず出てくる国、タイ。東南アジアには11カ国ありますが、特に日本人がノマドライフを送るにはタイがぴったりの場所と言われています。2024年からはタイのデジタルノマドビザの発給が始まり、世界中からさらに多くのリモートワーカーがタイに移住してノマドコミュニティを盛り上げていくでしょう。
今回はタイでデジタルノマドとして滞在や移住を考えている方に向けて、
- タイがノマドの移住先としておすすめな理由
- タイでノマドに人気の滞在地
- タイにデジタルノマドとして滞在するためのビザ
- タイのおすすめコワーキングスペース
上記の点を中心に、タイのデジタルノマド事情について解説していきます!
タイがノマドの移住先としておすすめな理由
タイは移住先としても人気があり、日本人にも住みやすい国です。バンコクのような大都市でのシティライフ、南国気分を満喫できるビーチリゾート、緑あふれる自然とタイ文化を体験できるチェンマイなどのタイ北部。そして昔からバックパッカーに愛されてきた観光立国だけに、トラベラー文化が根付いています。物価が比較的安いのも魅力的ですね。
まずはタイがノマドライフにおすすめな理由を解説しますので、タイでの生活をイメージしながら読んでみてくださいね。
タイはアジアトップの観光立国
タイはアジアでも屈指の観光立国で、旅行がしやすく、外国人旅行者へのサービスや快適な環境が整っています。チェンマイ、バンコク、プーケットといったノマドに人気の都市は一大観光地でもあり、例えば宿泊に関しても安価なホステルからコンドミニアム、高級リゾートまで選択肢が多く、予算に合わせて選べます。
また、交通機関が発達しているため国内の移動が便利で、都市間のアクセスもスムーズです。例えばバンコクで利用できる交通機関としてはスカイトレイン(BTS)と地下鉄(MRT)の2種類があり、1区間17バーツ(約80円)、1日乗り放題は150バーツ(約700円)の運賃で乗れます。さらにバス、タクシー、トゥクトゥク、バイクタクシーなど豊富な交通手段があるので、使いこなせれば移動で困ることはないでしょう。
そしてもちろん、タイは温暖な気候や美しいビーチ、豊かな自然、そして独特の文化など、観光地としての見どころが満載。タイは、ノマドにとって理想的な拠点となる条件が揃った移住先と言えるでしょう。
住居費・物価が安い
ノマドとは、定住しない事がひとつの定義になっていますが、ノマド生活で支出の多くを占めるのが「住居費」です。ノマドワーカーとしてはアクセスの良い都心部に住んでいたいところですが、家賃が高くなってしまうので悩みどころ。
タイの首都・バンコクには、カオサン通りやスクンビットといった複数の宿が安い街があり、ドミトリーなら1000円前後で滞在できます。
バンコクに1ヵ月以上滞在するなら、コンドミニアムを借りるのもおすすめです。単身者用なら1ヵ月10,000~15,000バーツ (約45,000円~67,500円)程度で、快適な部屋借りる事ができます。プールやジムが自由に使えるコンドミニアムもあります。
チェンマイやパンガン等など、デジタルノマドが集まる地域にはノマド向けのコリビングに滞在するのもおすすめです。費用はホステルのように安くはありませんが、デジタルノマド向けのコリビングではコミュニティイベントも盛んなので、世界中のノマド達と友達になれるでしょう。
食費に関しては何をどこで食べるかでかなり変わってきますが、タイではローカルなストリートフードが人気で、屋台でシンプルながら本格的なタイ料理をビニール袋などに入れてテイクアウトできます。タイの定食屋でも100バーツ程で食事ができ、ガパオライスやカオマンガイ、パッタイなどの定番タイ料理を味わう事ができます。
デジタルノマドを積極的に受け入れている
タイはデジタルノマドを積極的に受け入れており、2024年には「デジタルノマドビザ(DTV)」が発給されるなど、ノマドにとってますます魅力的な環境が整備されています。
タイ北部のチェンマイは「アジアのノマドの聖地」として知られ、まだデジタルノマドという言葉が一般的でなかった約10年前から、多くのノマドが集まる場所として発展してきました。さらに近年では、パンガン島やプーケットといったリゾート地でもコワーキングスペースやノマドコミュニティが充実し、デジタルノマドを迎えるための地盤がますます整っています。
タイはその利便性と多彩な魅力から、世界中のノマドがアジアを旅する際、最初の目的地として選ばれることが多い国です。観光立国としての発展や、温暖な気候、美しい自然といった魅力に加え、ノマドが心地よく過ごせるインフラやコミュニティが整っていることが、タイをノマドにとって理想的な移住先にしています。
タイのデジタルノマドビザ
2024年7月15日から、タイ政府はリモートワークをしながらタイに長期滞在したい人のために、デジタルノマドビザの発給を開始しました。正式には「Destination Thailand Visa」という名称で、DTVとも表記されます。DTVの発給開始により、リモートワークをしながら1回の入国に付きタイに連続360日間の滞在が可能になります (延長含む)。
タイのデジタルノマドビザの概要
- 対象者:
- タイでリモートワークを行うデジタルノマドやフリーランス
- タイでムエタイやタイ料理コース、スポーツトレーニングなどを長期で学ぶ人
- DTVビザ保有者の配偶者や子ども
- ビザ有効期限: 発行日から5年間有効
- 入国回数: 制限なしのマルチプルエントリー
- 滞在可能期間: 1回の入国につき180日間。入国後、1度のみタイ入国管理局でさらに180日の延長申請が可能
- 申請料金: 52,000円
DTVは5年間有効ですが、5年間出国せずにずっとタイに滞在できる訳ではなく、1回の入国につき180日まで滞在できます。入国後に1回、さらに180日の延長が可能なので、延長手続きをすれば合計360日間連続でタイにデジタルノマドとして滞在できます。
タイのデジタルノマドビザの申請方法
タイのデジタルノマドビザ (DTV)を申請するには、以下の書類を準備する必要があります。
- パスポート: 有効期限が6ヶ月以上、査証欄に2ページ以上の余白があるもの
- ビザ申請書 (Visa Application Form): 全ての欄を記入し、パスポートと同一の署名をしたもの
- 証明写真: カラー写真1枚(縦4.5cm×横3.5cm、3ヶ月以内に撮影)※日本国籍以外の人は、写真が3枚または4枚必要
- 経歴書 (Personal HIstory): 全ての欄を記入し、署名済みのもの
- 銀行残高証明書: 申請日に50万バーツ(約250万円)以上の残高がある英文の証明書原本
- 職業証明書類: 在職証明書(会社員の場合)や会社登記簿謄本(会社経営者の場合)、顧客との業務委託契約書・納税証明書・これまでの業績を示すポートフォリオ(フリーランスの場合)など、職業に応じた書類
- 航空券予約確認書: 申請者名、便名、タイ入国日が明記されたもの
- 滞在先証明: ホテル予約確認書(15日以上)や賃貸契約書など
- 身元保証書: 保証人の署名入りの身分証明書コピーとともに提出
- その他: 活動参加証明書や家族関係証明書など、該当する場合に必要な書類
このリストは日本国籍を有する場合です。日本国籍以外の人で日本に在住の場合は在留カードと追加の証明写真が必要です (3枚または4枚、国籍による)。
必要書類の詳細に関しては、東京のタイ王国大使館、または大阪のタイ王国総領事館、福岡のタイ王国総領事館のサイトでよく確認してから申請してください。2025年1月1日以降はオンラインでの申請が必要となります。
観光目的で60日以内ならビザ免除 (日本国籍の場合)
有効期間が6カ月以上の日本のパスポートを所持し、60日以内に第3国へ出国する航空券を所持していれば、ビザなしで60日間(59泊60日)まで滞在できます。
タイの Long Term Resident (LTR) ビザ
2022年に導入された、最長10年間タイに滞在できるビザです。取得時に5年、そしてさらに5年延長ができます。リモートワーカーも対象になっていますが、経済的に安定した高収入を得ている人のみが対象なので、ちょっとハードルは高め。LTRビザの「Work-from-Thailand Professinals」ビザの要件は以下の通りで、審査に通れば発行されます。
- 収入要件:過去2年間の年収が80,000 USD以上ある事
- 医療保険:最低50,000 USDの保証がある医療保険に入っている事、または最低100,000 USDの貯金がある事。
- 雇用証明:上場企業の社員、または3年以上運営していて、過去3年間の総収入が150万USドル以上の企業に勤めている事。
- 実務経験:過去10年間の間に、現在の職務に関連する仕事の実務経験が5年以上ある事。
申請手続きについては、タイ大使館ウェブサイトのビザのセクションをご覧ください。
タイでデジタルノマド生活 – どこがおすすめ?
タイでノマドに人気のある滞在地とその特徴を紹介します。
チェンマイ
アジアでデジタルノマドの聖地として、インドネシアのバリと並んでトップの人気を誇るチェンマイ。タイで2番目に大きな都市ですが、周辺は山々、田園に囲まれた緑の多い地域です。
観光地なのでホテルは勿論、ホステルや安価な宿も多く、コワーキングスペースも充実しています。
美しい寺院が多くあり、タイの伝統文化に触れられるのもチェンマイの良い所。
バンコク
タイの首都バンコクは、熱気あふれる東南アジアの大都市そのもの。高層ビルが立ち並ぶエリアから、活気あるナイトマーケット、巨大なショッピングモールなど、シティライフが好きな人におすすめです。
昔からバックパッカーの拠点となる街なので安宿も数多くあります。また都会だけあって、洗練されたコワーキングスペースも沢山あります。
パンガン島
パンガン島と言えばフルムーンパーティーですが、近年はヨガやウェルネスのリトリートでも知られるようになり、長期滞在するトラベラーが多い島です。
観光地として有名なお隣のサムイ島より、パンガン島はコアなトラベラーやデジタルノマドに人気があり、設備の整ったコリビングやコワーキングスペースも増えてきています。
プーケット
プーケットはタイのリゾート地の中でも、ドイツ人やロシア人などヨーロッパからの旅行者に人気があり、高級ホテルから安宿、レストランなど旅行者向けのサービスはとても充実しています。
コワーキングスペースもいくつかあり、リモートワークをしながらリゾート気分を目いっぱい味わいたい人におすすめです。
タイのおすすめコワーキングスペース
タイには世界中のノマドワーカーが集まるので、コワーキングスペースやコワーキングカフェが多いです。ここではデジタルノマドに人気の各都市でおすすめのコワーキングスペースを紹介します。
The Hive (バンコク)
大都会のバンコクには、スタイリッシュなコワーキングスペースが沢山あります。The Hiveは香港、シンガポール、ベトナム、オーストラリアなどアジア太平洋地域で展開しているコワーキングスペースで、タイにはバンコクに「Hive Thonglor」と「Hive Prakanong」の2件があります。
Hive Thonglorはスクンビットロードに程近いPiman 49にあり、7フロアに渡ってコワーキングスペースやミーティングルームがあり、屋上には一息つくのにぴったりのルーフトップカフェがあります。Hive PrakanongはBTSのPrakanong駅から2分のところに位置しています。
1日利用のデイパスはHive Thonglorが393バーツ、Hive Prakanongが337バーツで、9時から18時まで利用できます。月毎のマンスリーメンバーは24時間利用可能です。
ヨガセッションやミートアップなどのイベントも頻繁に開催されていて、メンバー同士の交流もできる、バンコクでおすすめのコワーキングスペースです。
Hive Thonglor 公式サイト / Hive Prakanong 公式サイト
Alt_ChiangMai (チェンマイ)
Alt_ChiangMaiは、チェンマイ旧市街のWest Gate (Suan Dok Gate)の近くにあるデジタルノマド向けのコリビング&コワーキングスペースです。コリビングとしてはトイレ・シャワー付きの個室と、共有キッチン、プレイルームがあります。
充実した設備のコワーキングスペースは高速Wi-Fiはもちろん、様々なタイプのワークスペースが設けられていて、コミュニティテーブル、個人ブース、カンファレンスルーム、電話ブース、クワイエットゾーンなどが用意されています。地元産の無料コーヒーもありますよ。
料金は平日9:00~21:00、土日9:00~18:00の間で使えるデイパスが320バーツ、その他1週間のウィークリーパス、15日間パスもあります。
Remote & Digital La Casa (パンガン島)
パンガン島のBaan TaiエリアにあるRemote & Digital La Casaは、コワーキングスペース&レストラン。レストランのテーブルでコワーキングするのではなく、ちゃんと専用のコワーキングスペースが設けられています。ホットデスクの他にプライベートオフィスやミーティングルーム、電話ブースもあります。
レストランは美しいBaan Taiのビーチに面していて、仕事に疲れたらチルアウトするのに最高のロケーションです。
Let’s Work (プーケット)
プーケットのRawai BeachにあるLet’s Workは、カジュアルな雰囲気のコワーキングスペース。ビーチに面した通り沿いにあり、抜群のロケーションです。
入り口はおしゃれなカフェになっていて、美味しいコーヒーや軽食を取る事ができます。高速インターネットが整備されたコワーキングスペースにはミーティングルームやプライベートオフィスもあり、ネットで仕事をするのに十分な設備が整っています。コミュニティイベントもよく開催されています。
利用は1時間で200バーツ、2時間で300バーツ、1日500バーツで、その他にもウィークリープラン、フレックスプラン、マンスリープランなど多彩なメンバーシップがあるので、自分の予算と利用頻度に合わせて選べます。
住みやすい国・タイで快適に過ごそう
タイはバックパッカーの聖地といわれる程、世界中からのトラベラーが集まります。物価が安く、食事が美味しく、美しいビーチやジャングルなどの自然、外国からの旅行者へのサービスが充実している事から、仕事をしながら旅をしたいデジタルノマドにも大変人気の滞在先。
カフェやコワーキングスペースが多く、作業場所に困ることも少ないので、ノマドライフにオススメの国ですよ。
タイでデジタルノマド生活 FAQ
✅タイ入国後60日以内の観光目的の滞在の場合、日本国籍者はビザなしで入国することができます。その場合、60日以内に出国する航空券等を所持している事、パスポートの残存期間は6ヶ月以上ある事が条件となります。旅先で元々の自分の仕事をするのは大丈夫ですが、観光目的のビザなので、タイでビジネスをする事はできません。より長期間タイに滞在したい場合は、デジタルノマドビザ (DTV)もあります。
✅ ノマドとしてタイに長期間滞在したい場合は、5年間有効のデジタルノマドビザ(DTV)の取得を検討してみましょう。1回の入国で滞在できるのは延長期間も含めて360日までです。高収入のリモートワーカーは、最長10年の滞在が可能なLTRビザも取得可能です。
✅バンコク、チェンマイがオススメです。チェンマイはバンコクから車で1時間15分ほどかかりますが、景観が美しく落ち着いた雰囲気なので、ノマドワーカーに人気があります。また南国気分を味わいたい人はパンガン島、サムイ島やプーケットなどのビーチリゾート、その周辺の島もおすすめ。
✅立地や設備により異なりますが、1日利用のデイパスで300バーツ~500バーツ程度が一般的です。長期滞在する場合は、月毎のマンスリープランにするとお得です。
✅タイ料理は一般的に日本人の口には合うとされています。屋台など、安くて美味しいストリートフードが豊富でタイフード好きには天国でしょう。街ではファストフードや日本料理、西洋料理、なんでもあります。
✅BTSやMRTが安いですが、駅から遠い場合はタクシーやトゥクトゥク(バイクタクシー)に乗るのがオススメです。タクシーに乗るならぼったくられないよう、Grabなどの配車アプリを使いましょう。都市間の移動は長距離バスも使えます。パンガン島などの島では、バイクをレンタルするのが一般的です。