新しい生活スタイルとして、旅好きな若者を中心に近年広まっているアドレスホッパー。「住む拠点を持たないなんてどうやって生活しているの?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。
今回はアドレスホッパーとは何か、アドレスホッパー生活のメリットとデメリット、アドレスホッパーになるための準備方法や便利なサブスクサービスを紹介していきます!
アドレスホッパーとは?
アドレスホッパーとは、「address(住所)」と「hopper(飛び回る人)」を合わせた造語で、特定の住居を持たずに複数の拠点を転々としながら生活する人のことです。
ゲストハウスやホステル、ホテル、民泊等に滞在しながら、気の向くまま、または仕事上の必要に応じて、各地を転々としながら暮らしています。
ノマドワーカーと似ていますが、ノマドとは働く場所が一定ではなく様々な場所で仕事をするのに対し、アドレスホッパーは居住場所を定めていないことを指します。例えば毎日同じオフィスに通勤していても、1か月ごとに居住地を変えながら生活している人は立派なアドレスホッパーと言えます。
アドレスホッパーはどこで暮らしている?
アドレスホッパーが利用する主な居住場所は以下の通り。プライバシーを確保できるホテルから、他の旅人やアドレスホッパー達と交流できる施設など、予算と好みに応じて様々な滞在形態があります。
コリビング、シェアハウス
コリビングやシェアハウスは、基本的に個室で、リビングやキッチンなどが共有スペースになっているため、適度なプライバシーを保ちながらコミュニティ・ライフが送れるのが魅力です。
ホステル、ゲストハウス
個室もあればドミトリーもあり、旅行者も含めて色々な人々と交流できます。基本的に人の出入りが激しく、自分だけの静かなスペースを確保するのが難しい反面、旅好き・人好きな人には楽しい。
民泊
AirBnBなどで予約できる民泊を利用。ホテルより安価でプライバシーがあるのでアドレスホッパーに人気。ホテルやゲストハウスがないエリアでも民泊はある事が多い。ただし滞在費用は高め。
ホテル
個室でプライバシーがあり、落ち着いて仕事ができます。サービスも充実していて快適だが高い費用がかかるので、よほど稼いでいるか、仕事上必要で会社持ちの出張扱いでないとホテル住まいのアドレスホッパーはハードルが高い。
サブスクサービス
下記でも詳しく紹介していますが、各地を飛び回るのが好きなアドレスホッパー向けに、全国各地の提携施設に月額で泊まり放題のサービスがあります。ドミトリーなど部屋をシェアする形が多いので、プライバシーを気にしなければ安価で全国様々な場所に滞在する事ができます。
バンライフ
メジャーな居住方法ではありませんが、アウトドア派のアドレスホッパーにはキャンピングカーやワゴン車で車中泊しながら暮らす強者も。バン生活をSNSで発信するインフルエンサーとして活躍する人もいます。
アドレスホッパーはどんな仕事をしている?
アドレスホッパーには、特定のスキルや技術を持ったフリーランスの個人事業主が多いですが、普段から全国各地、世界各地を飛び回る事が多い仕事に就いている人や、完全リモートワークに理解があるスタートアップ企業等に勤めている会社員のアドレスホッパーもいます。
ライターやブロガー、Webマーケター、写真家などノマドワーカーと同様、パソコンとネット環境さえあれば作業できる仕事に就くアドレスホッパーが多いです。Youtuberやインフルエンサーとして知名度や実績がある人は滞在先のPRを仕事にしている人もいます。
最近はコワーキングスペースが充実してきているので、パソコンでじっくり仕事をしたいフリーランサーも快適に仕事ができます。
アドレスホッパーのメリット
- 好きな場所に好きな時に滞在する、自由なライフスタイル
- 色々な人と出会える
- 家賃・光熱費などの固定費を節約できる
アドレスホッパーのメリットは新しい環境や人との出会いが多いことです。常に新鮮な環境にいて刺激が欲しいという人にはぴったりです。
固定費に関しては、家賃や光熱費などを払う必要が無く、家具も必要ありません。うまくやりくりすれば賃貸よりも出費を減らず事ができますが、滞在方法によってはより高くつく場合も。
アドレスホッパーのデメリット
- 体力・気力・エネルギーが必要
- 郵便物管理が面倒
- セキュリティの心配
アドレスホッパーのデメリットは体力面と事務手続きにあります。
1ヶ月おき、短いと数週間や数日で移動することもあるので、環境の変化でストレスが溜まり、体調を崩しやすいです。また常に新しい環境に慣れるため、前向きなエネルギー、気力がないと続けるのが困難になってしまいます。
郵便物の送付先も、私書箱を利用するなど特定の場所に決めておかないと受け取り漏れや紛失に繋がります。
滞在先のセキュリティにも注意する必要があります。特に女性のアドレスホッパーは、浴室や部屋に鍵があるかどうか確認し、盗難や痴漢に遭わないよう気を付けましょう。海外ではなおさらです。
アドレスホッパーになるための準備
住民票や税金はどうする?
定住しないアドレスホッパーですが、住民票はどこかに置いておく必要があります。体調を崩した時に健康保険が使えますし、税金や保険料を支払う際にも住所が必要です。選挙の投票も住民票がある自治体で手続きします。
自宅がある場合や実家等に住民票を置く事ができれば良いのですが、それができない場合は、年間で滞在する期間が最も長いシェアハウスに住所を移す、住民票が置けるコリビングサービス(Addressの固定ベッドサービスなど)を利用する等の工夫が必要です。シェアオフィスの場合、住居ではないので住民票が置けないケースが多いので注意が必要です。
海外ノマドをする場合は、 海外転出届をすることで住民票を抜くことができます。日本に居住していない状態になるため、 住民税を払う必要はなくなります。同時に国民健康保険に加入できなくなり、 国民年金の義務がなくなります (任意で加入はできる )。
郵便物の受取りは?
アドレスホッパー生活では郵便物の受取りも工夫が必要です。
- 実家等に転送
- 私書箱を利用
- シェアオフィス・バーチャルオフィスサービスを利用
- コリビングの年間固定ベッドサービスを利用 (Address等)
以上のようなオプションがありますが、私書箱はほぼ遅延なく郵便物を受け取る事ができることが条件になっています。宅配物などは滞在している場所へ送ってもらう事ができますが、郵便物によっては住民票のある住所にしか送付されないものもあるので、注意が必要です。
クレジットカード、銀行口座、ローン審査
定住地がないと難しい手続きに、クレジットカードの作成、銀行口座の開設、ローン審査があります。 定住地がないと、クレジットカードやローンの審査に通らない可能性があるためです。 これらは必要であればアドレスホッパーになる前に手続きを済ませておきましょう。
荷物を減らす
身軽に移動するためには、荷物を減らさなければなりません。自宅に定住していると使っていないモノをたくさん所有してしまいがち。不必要なモノは売るなど処分して、どうしても必要なものは荷物を預かってくれるサービスに預けておきましょう。
アドレスホッパー生活を快適にする、おすすめサービス
生活拠点を自由に変えるアドレスホッパーならではの暮らし方をサポートするサービスを利用することで、より快適な多拠点生活を送ることも可能です。ここでは、サブスプリクション型住居のほか、ファッション、荷物預かり、コワーキングスペースなどのサービスをご紹介しましょう。
アドレスホッパーに便利な住居サービス
定住とは違うアドレスホッパーの暮らし方に合った住居サービスには、ゲストハウス、ホステル、シェアハウス、コリビングスペースなど多様な形態があります。デジタルで簡単に契約できるサブスプリクション型サービスや、外泊したら家賃が下がる住居、キャンピングカーに寝泊まりするバンライフなど、その特徴もさまざまです。
ADDress (アドレス):月額40,000円で全国の物件を住み放題の住居のサブスク
ADDressは月額4万円で全国の物件を住み放題で利用可能な、住居のサブスクサービス。光熱費、敷金・礼金などの初期費用は一切かからず、滞在先はWi-Fiや生活用品なども揃っているので、仕事にも問題のない環境で過ごせます。
さらに家族または固定のパートナー1名は追加費用なしで滞在できるので、パートナーや家族と二人で多拠点生活を送りたい方にはぴったりですよ。
Hafh (ハフ): 月額82,000円で世界中住み放題
Hafhは月額82,000円で世界中住み放題なサブスクサービスです。月の滞在可能泊数に合わせてプランが用意されており、月5泊のプランだと10,400円で利用できるので、気軽にお試しも可能。
日本国内だけでなく、世界のホステルやゲストハウスとも提携しているため、海外ノマドにも利用できそうです。
Hostel Life (ホステルライフ): 月額15000円から、全国のホステルに泊まり放題
Hostel Lifeの提供する「ホステルパス」は、月額1.5万円〜の料金で、全国のホステルやゲストハウスが泊まり放題になるメンバーカードです。
長期旅行者向けの「ホステル暮らしパス」と、自宅とホステルの2拠点居住者向けの「二拠点パス」のプランが用意されています。月額料金は、曜日やドミトリーか個室かによって変わってきます。
XROSS HOUSE (クロスハウス):東京のシェアハウス・ネットワーク
XROSS HOUSE(クロスハウス)は、家賃29,800円〜から探せる東京のシェアハウスサービスです。
月額料金は、ドミトリー、セミプライベート、個室、家具付きアパートメントの部屋タイプで変わってきます。他物件への移動や部屋タイプの変更は無料です。ほかに、初期費用、共益費、システム利用料、解約手数料が必要となります。
HMLET (ハムレット):コリビング賃貸住宅
HMLET(ハムレット)は、三菱地所グループが運営する「住みながら新しい体験ができる」コリビング賃貸住宅です。コミュニティマネージャーのもと、各種イベントが定期的に開催されています。都心の駅近に、1カ月から利用可能な1K~2LDKの家具付き・なしの部屋を選ぶことができます。
unito (ユニット):外泊したら家賃が下がる
unito(ユニット)は、外泊したら家賃が下がるアドレスホッパーにお得な住居サービスです。敷金礼金・更新料・退去費用ゼロで、最短契約期間は1カ月〜。「リレント(Re-rent)」という、居住者がいない日をホテルとして貸し出す、独自の仕組みで家賃を安くしています。
【番外編】Carstay (カーステイ):キャンピングカーに車中泊
Carstay(カーステイ)は、キャンピングカーのシェアリング「バンシェア」や、車中泊スポットのシェアサービス「カーステイ」を提供するバンライフのプラットフォームです。
長期割引制度もあり、地方での文化・田舎体験やワーケーションに活用できるサービスです。
服のサブスクでアドレスホッパーの洋服問題を解決
年中自宅に帰らずにアドレスホッパーをしていると、Tシャツからダウンまで春夏秋冬着られる服が必要になりますが、荷物が膨大な量になってしまいます。
荷物は減らしたいけどおしゃれはしたい。そんな女性アドレスホッパーの悩みを解決するのが、ファッションレンタルのサブスクサービス。着なくなった服はすぐに返却できるため、クローゼットもすっきり。スタイリストがコーディネートしてくれるサービスもあり、服をゆっくり選ぶ時間がないという悩みも解消してくれます。
MECHAKARI(メチャカリ): 人気ブランドの新品の洋服を定額で借り放題
MECHAKARIは、人気ブランドの新品の洋服が定額で借り放題のファッションのサブスクサービスです。
月額レンタル可能枠に準じて2,980〜9,800円までのプランがあり、クリーニング不要で返却可能。気に入った服があれば割引価格で買い取る事も可能。おしゃれはしたいけど荷物が増えるのは困る、というアドレスホッパーにぴったりのサブスクです。
airCloset (エアークローゼット):スタイリストがコーディネートした洋服が毎月届く
airCloset(エアークローゼット)は、プロのスタイリストがコーディネートした洋服が毎月届く、月額制ファッションレンタルサービスです。
Webでのファッションタイプ診断をもとにした、個性に合わせたパーソナルスタイリングが特徴です。
Rcawaii (アールカワイイ):普段着からドレスや着物も、種類豊富
Rcawaii(アールカワイイ)は、500以上の人気ブランドの服が借りられるファッションレンタルサービスです。パーソナルスタイリストにコーディネート相談ができ、気に入った服はそのまま購入可能です。
普段着からドレスや着物まで幅広いジャンルの服が揃っています。
アドレスホッパーの荷物問題を解決する、荷物預かりサービス
アドレスホッパーを始めるにあたっては、今ある荷物や家具をどこに保管するかが問題になります。そんなときに便利なのが、新しいデジタル時代の荷物預かりサービスです。手頃な料金で箱やアイテムごとに管理してくれ、スマホで写真からアイテムを選んで滞在先に配送してもらえるサービスもあります。
サマリーポケット
サマリーポケットは送った荷物を倉庫に保管し、必要になったら郵送してくれるサービスです。
箱に詰めて荷物を送ると、スタッフが荷物の写真を撮ってリスト化してくれるので、スマホから荷物の中身を確認できます。利用者は必要なときに必要な荷物をリストから選ぶと、最短翌日に受け取り可能です。
個人で倉庫を借りるより圧倒的に安い値段で荷物を収入できるので、自宅など荷物を置いておく場所がない方におすすめです。
モノオク
モノオクは「荷物を預けたい人」と「荷物を保管したい人」をつなぐ物置シェアサービスです。
Webサイトに登録されている多くのスペースから、立地や金額をもとに希望の預け先を選びます。選んだスペースのホストにメッセージを送り交渉が成立すれば、すぐに荷物を預けることができます。
minikura (ミニクラ)
minikuraは、月額1箱275円から預けられる低価格なクラウド倉庫サービスです。
「ボックス保管」と「吊るして保管」があり、アイテム撮影あり・なし、クリーニングやヤフオク!出品などのオプションも利用できます。
アドレスホッパーのためのコワーキングスペース関連サービス
全国にあるコワーキングスペースを手頃な価格で利用できるサブスプリクションサービスは、アドレスホッパーのための理想的な仕事環境を叶えてくれます。コワーキングスペースには、オフィス機能のほかに、地域やスタートアップのコミュニティと交流できるという魅力があります。コワーキングスペースのサブスクと検索サービスを紹介します。
trivenPASS (トリブンパス)
trivenPASS(トリブンパス)は、2021年に始まった全国のコワーキングスペースを月額3,300円で使えるサブスクサービスです。
各地のスタートアップ、日本を代表する企業、地域を支える自治体の三者を結んで、会員同士で仲間を募れるオンラインコミュニティや、事業化を支援するさまざまなイベントなどを提供します。
OFFICE PASS (オフィスパス)
OFFICE PASS(オフィスパス)は、全国約300カ所以上のコワーキングスペースの自由席がいつでも何度でも利用できる日経が運営する月額シェアオフィス事業です。
予約不要で、空席のあるシェアオフィスに行ってQRコードを提示すれば利用できるので、様々な地域を飛び回るアドレスホッパーには手軽で嬉しいサブスクサービスです。
Coworking DB (コワーキングDB)
Coworking DBは、日本全国のコワーキングスペースを検索することができるサイトです。コワーキングスペースを検索したいエリアや駅、メンバーのタイプや雰囲気などの条件から、ピッタリの仕事場所を探すことができます。会社登記可能、子連れ可能、宿泊可能なスペースもあります。
ハブスぺ
Hub Spaces(ハブスペ)はコワーキングスペース、シェアオフィス、レンタルオフィスの検索サイトです。1名のコワーキングスペースから100名の大型個室まで網羅しています。「お気に入り登録」や「閲覧履歴」を使って比較検討することができます。
サービスを上手く利用して、快適アドレスホッパー生活に
アドレスホッパーは場所に縛られず、常に新しい経験をしながら生活できる反面、不便なことも多いのが事実。
アドレスホッパーという働き方が広がるにつれ、そんな不便を解決するサービスが増えています。ぜひ上手に利用して楽しく快適なアドレスホッパー生活を送りたいものですね!
このようなサービスは、ミニマルなライフスタイル、バンライフ、アウトドア活動などにも利用できそうです。地方移住の下見やワーケーションで、一時的にアドレスホッパーを体験してみるのもいいかもしれません。
「自分はこんな工夫をしている」とか「こんな困った事があった」など、アドレスホッパー体験者の方、是非コメント欄にてお声をお聞かせください!
アドレスホッパーQ&A
アドレスホッパーとは、定住せずに頻繁に住む場所を変える人のことを指します。ゲストハウスやシェアハウス、コリビングに住み、1ヵ月~1年位で次の場所へ移るケースが多いです。
初めて泊まる場所などは、人気のある、なるべく人の多い場所を選ぶようにしましょう。特に海外では滞在先の治安を確認、他にもノマドや旅行者が集まる場所を選ぶなど、ひとり旅をする上で注意すべきセキュリティは守るようにした方が良いでしょう。ホステル等では女性専用ドミトリーが用意されている所も多いので、女性アドレスホッパーはそういう所を利用してみては。
アドレスホッパーは実家に住民票を置いている人、または最もよく滞在する拠点に設定している人が多いです。住民票を置けるサービスを提供している住居サブスクサービスもあります。
ライターやエンジニアなど、パソコンがあればリモートワークできるフリーランスの仕事をしている人が多いです。アドレスホッパーの生活そのものを動画配信したり、滞在先のPRを仕事にしている人も。
日々の生活に刺激を求める人、移動や旅行が好きな人におすすめです。新しい土地で生活するのは楽しい反面、エネルギーを必要とします。アドレスホッパーは常に新しい事を経験しながら生きていたい人に向いているライフスタイルです。
色々な土地に気軽に滞在できる住居のサブスクサービスAddressやHafH、荷物を減らせるレンタルサービスのメチャカリ、今すぐ使わない荷物を預かってもらえるサマリーポケット等がアドレスホッパーに便利です。