北米のパリとも称される、フランス文化が色濃く残るおしゃれな街モントリオール。モントリオールと言うと「ジャズフェスティバル」や「F1レース」を思い浮かべる人も多いのでは。音楽やアート、スポーツなど様々なイベントが開催されるエネルギー溢れる都市です。
この地でリモートワーカー向けのコリビング「Nomad Coliving」を運営する日本人女性、木下マリア氏に現地のノマドシーンについてお話を伺いながら、モントリオールの魅力を紹介します。
モントリオールはどんな街?基本情報
モントリオールはカナダの東側、フランス語圏であるケベック州にあります。オンタリオ州のトロントに次いで人口、経済規模でカナダで2番目に大きな都市。
フランス系のカナダ人を中心に、世界中からの移民も多く暮らす国際的な街です。
冬はかなり寒く、1月・2月は最低気温がマイナス10°Cを下回る事もあります。夏は天候も良く、最高気温が25°C前後と過ごしやすいため観光客も多く訪れ、様々なイベントがあちこちで開催されます。
日本人女性が運営する、モントリオールで最初のコリビング「Nomad Coliving」
Nomad Coliving (ノマド・コリビング)は、モントリオールのダウンタウンという便利な立地にある、デジタルノマド/リモートワーカー向けのアットホームなコリビング施設。16室の個室があり、世界各地からやってきたノマドワーカー達と共同生活を楽しみながらプライバシーも大切にしたい海外ノマドにぴったりです。1階にはリビング、キッチン、コワーキングスペースやジムスぺースがあり、入居者のコミュニケーションの場となっています。
モントリオールで最初にできたデジタルノマド向けコリビング施設として話題を集め、モントリオールのノマドシーンの中心的存在とも言える「Nomad Coliving」ですが、このコリビングを創立したのは日本人の女性、木下マリア氏。フランス生まれで日本人とスーダン人のご両親を持つ、正に国際人の見本のような女性です。ケベック州の主要言語であるフランス語、英語、日本語を流暢に話すトリリンガルで、OctoDというIT企業を経営する起業家でもあります。
木下氏がコリビング運営で最も大切にしているのは「コミュニティ」。Nomad Colivingに来るノマドは、色々な人と会いたいからここを選んだという人が多く、皆とてもフレンドリーだと言います。コリビングを運営する木下氏が何もしなくても、入居者が率先してディナーや映画鑑賞などのイベントを発案するそう。リビングに置かれた黒板には彼らが企画したイベントの予定がいつも何か書きこまれています。
Nomad Coliving 創業のきっかけ
木下氏がコリビングを始めた理由は「自分が入居したかったから」。
彼女がCEOを務めるOctoDは、企業・組織向けのオンライントレーニングを提供する会社ですが、オフィスは設けておらず、従業員全員がリモートワークで働くデジタルノマドです。
2016年、リモートワークで仕事をしながら世界各地を旅していた木下氏がモントリオールに帰ってきた時、長期契約しなくても住める手頃なアパートがなく、とても不便な思いをしたと言います。それまで世界の様々な国のコリビングに滞在していた彼女は、この事がきっかけとなり、Nomad Coliving創業の決心をしました。
持前の起業家精神で「無いなら自分が作ろう」と、物件探しから法的な手続きまで、最初は手探り状態で始めました。その道のりは「もう本当に大変で、何で始めたんだろうと思ったくらい (笑) 」と言います、2018年に最初のゲストが入居するまで2年程かかりましたが、今では半年後まで予約で埋まっているそうです。
アートとビジネスを学んだ彼女は、学生の時に家がない人達のためのシェルターハウスの運営に関わり、またその人たちが働ける場としてコーヒーショップを経営した経験が、Nomad Colivingの設立・運営に役に立っていると言います。
海外ノマド生活が長く、世界を飛び回る木下氏ですが、日本が大好きで、次は沖縄にコリビングをオープンするのが夢だと語ってくれました。
デジタルノマドSergio Sala氏によるNomad Colivingでのノマド生活 in モントリオール 👇
Nomad Coliving 詳細
料金設定はかなり良心的で、長期滞在するのであれば民泊などを利用するより経済的です。入居は最低1か月間から。入居には審査があり、事前に運営スタッフとのインタビューがあります。入居対象はリモートワーカーのみで、観光客の滞在は受け付けていません。
住所 | 1679 Rue de Champlain, Montreal, QC H2L 2S6 [地図] |
料金 (2022年5月現在) | シングルルーム (バスルームは共同): $925 CAD/月 ダブルルーム (バスルームは共同): $1045 CAD/月 デラックスダブル (バスルーム付): $1275 CAD/月 *入居は1ヵ月~6ヵ月 |
連絡先 | contact@nomadcoliving.com |
ウェブサイト | www.nomadcoliving.com |
モントリオールのノマド事情
カナダは外国からの居住者が多く、モントリオールもとても国際色が豊かな都市。モントリオールに滞在するノマドは、カナダ人はもちろん、フランス語圏である事からフランス人も多く、またブラジルやメキシコ、オーストラリアからもデジタルノマドが訪れます。
トロントやバンクーバーと比較して物価も比較的安く、ニューヨークと比べると生活コストは大体半分程度で済んでしまうため、ニューヨーク、サンフランシスコといったアメリカの都市からモントリオールに拠点を移すIT系のノマドワーカーも多く見られます。
モントリオールが若者に人気があるのは「18歳からお酒が飲めるのも理由かも(笑)」と木下氏。(ちなみにアメリカは21歳、同じカナダでもトロントは19歳からです。)
モントリオールのコワーキングスペースとカフェ 10選
モントリオールには、リモートワークに使えるカフェやコワーキングスペースがたくさんあります。RegusやWeWorkなどの大手コワーキングスペースもありますが、ここではモントリオールならではのローカル色あるコワーキングスペースやアンティカフェを10件、厳選して紹介します。
Crew Collective & Café
かつてはRoyal Bank of Canadaだった歴史ある建物をリノベーションしたカフェ+コワーキングスペースがCrew Collective & Café。世界で最も美しいコワーキングスペースのひとつとしてForbes誌をはじめ、様々なメディアで取り上げられています。
アーチ形の高い天井が印象的なコワーキングスペース(Collective)には数種類のデスク、会議室、仕切りのあるデスク、バルコニー、禅ルーム、ダイニングエリアがあります。プライベートオフィスを借りる事も出来ます。
カフェはコワーキングスペースのメンバーでなくても誰でも利用できます。コーヒーはもちろん、ベーグルサンドやスープ、サンドイッチなどがありランチにもぴったりです。
スペース名 | Crew Collective & Café |
住所 | 360 Rue Saint-Jacques, Montréal, QC H2Y 1P5 [地図] |
料金 (日) | $40 |
料金 (月) | $300 |
WEB | www.crewcollectivecafe.com |
Insiders Cafe
Insiders Cafeは、リモートワークに気軽に利用できるおしゃれなコワーキングカフェ(アンティカフェ)です。様々なタイプのテーブルがあるので、その日の気分によって好きな席を予約できます。
デイパスは$17という低料金で、カフェのスペースをまる1日利用できる上に、無料でバリスタが淹れるコーヒーやお茶を注文できます。
ここで紹介しているCrescent通りの他、St.Denis通りにもあり、月間パスを購入すればどちらのカフェでも使えます。
スペース名 | Insidercafe |
住所 | 2067 Rue Crescent #205, Montréal, QC H3G 2C1 [地図] |
料金 (日) | $17 (1時間$5でも利用可) |
料金 (月) | $250 |
WEB | www.insiderscafe.com |
Anticafe Montreal
Anticafe Montrealはモントリオールで有名なアンティカフェのひとつです。アンティカフェとは、1時間当たり、1日当たりなど利用時間対してに料金を払うコワーキングカフェのこと。リモートワーク利用が前提なので、安定した高速インターネットなど、仕事をする環境が整っています。また定期的に通うリモートワーカーが多いので、自然とコミュニティができるという利点もあります。
Anticafe Montrealの料金は時間単位で、最初の1時間が$5、2時間目は$3、3時間目以降は1時間当たり$2で、1日居ても$15。ドリンクは無料なので、かなり格安と言えます。
Anticafe MontrealはAnticafe Loftという無人のコワーキングスペースも運営しています。
スペース名 | Anticafe Loft |
住所 | 264 Rue Sainte-Catherine O, Montréal [地図] |
料金 (時間) | $5 (2時間目$3、3時間目以降$2) |
料金 (日) | $15 |
WEB | facebook.com/anticafemontreal www.anticafeloft.com |
OSMO x Marusan (at Notman House)
Notman Houseはモントリオールのスタートアップを支援するインキュベーターであり、コワーキングスペースを提供しています。ワークスペース利用は最低6ヵ月の契約が必要ですが、Notman HouseにあるカフェOSMO x Marusanに行ってみてはいかがでしょうか。
OSMOxMarusanは日本の軽食にインスパイアされた日本人シェフによるメニューを提供していて、ふわふわパンの卵サンドイッチや唐揚げカレー等が楽しめます。
スペース名 | OSMO x Marusan |
住所 | 51 Rue Sherbrooke O, Montréal, QC H2X 1X2 [地図] |
WEB | notman.org |
Ideal Coworking
広々としたロフト風スペースのIdeal Coworking。キッチン、ロッカー、シャワーも整備されていて、開放的なウッドデッキのテラスもあります。リモートワークに快適な環境で仕事もはかどりそうですね。
1日$20で9:00~17:00の利用が可能で、1月ごとの契約でメンバーになるとコワーキングスペースに24時間アクセスできます。
スペース名 | Ideal Coworking |
住所 | 4035 St Ambroise St #216, Montreal, QC H4C 2E1 [地図] |
料金 (日) | $20 |
料金 (月) | $225 |
WEB | idealcoworking.com |
Le Cornélien
Le Cornélienはアットホームな雰囲気のコワーキングスペース。コモンスペースの利用料は1時間あたり$5、1日当たり$18、1月当たり$200です。その他にも20時間、5日間、10日間、15日間、20日間のパッケージがあります。
ドリンクは有料ですが、コワーキングスペースの利用者はコーヒーとお茶を割引して貰えます。また冷蔵庫と電子レンジが使え、食べ物の持ち込みOKです。
Le Cornélienでは手芸品のワークショップや衣服のポップアップストア、アートの展示会やエコロジーに関するレクチャーなど、様々なイベントが開催されています。
スペース名 | Le Cornélien |
住所 | 6692 R. Saint-Denis, Montréal, QC H2S 2R9 [地図] |
料金 (時間) | $5 |
料金 (日) | $18 |
WEB | www.lecornelien.com |
Nomad Life
NOMAD Lifeはクリエイターのためのコワーキングスペース。撮影、レコーディング、ワークショップなどに利用できるスタジオのレンタルも可能です。
クリエイター専用のワークスペースとあって、アーティスティックな独自の雰囲気があります。クリエイティブな仕事をしているノマドワーカーは多くの刺激を受けられるでしょう。
月の利用料は$300。ワークスペースには24時間アクセスでき、リビングルーム、屋上テラスもあります。
スペース名 | Nomad Life |
住所 | 129 Av. Van Horne, Montréal, QC H2T 2J2 [地図] |
料金 (月) | $300 |
WEB | www.nomadlife.tv |
Montreal Cowork
Montreal Coworkはリモートワーカーが快適に仕事をするための全ての設備が整ったコワーキングスペースです。
デイパスは$45で、月曜日~金曜日の9:00~17:00までコワーキングスペーススペースを利用できます。初めての利用の際は$20のアカウント開設料が必要です。毎月$30のサブスクリプション料金を払うと、1日当たり$25で利用が可能です。月間契約すると24時間コワーキングスペースにアクセスできます。
スペース名 | Montreal Cowork |
住所 | 4388 R. Saint-Denis #200, Montréal, QC H2J 2L1 [地図] |
料金 (日) | $45 |
料金 (月) | $275 |
WEB | montrealcowork.com |
Temps libre
Temps libre コワーキングスペースは、モントリオールでも特にクリエイティヴなエネルギーに溢れるエリアとして知られるMile-Endにあります。
Temps libreには大きなキッチンがあるだけでなく、キッズ用のスペースまであり、そしてペット・フレンドリーと、コワーキングスペースにはなかなか無いサービスを提供しています。
月間の会員になると、ワークスペースに24時間アクセス、ミーティングルーム、ルーフトップテラス、シャワー、自転車置き場が無料で使えます。
スペース名 | Temps libre |
住所 | 5605 Av. de Gaspé, Suite 106, Montreal, QC H2T 2A4 [地図] |
料金 (日) | $21 (現在停止中。2022年秋に再開予定) |
料金 (月) | $305 |
WEB | tempslibre.coop |
GamePlay Space
GamePlay Spaceは、ゲーム開発者のためのコミュニティ&コワーキングスペースです。ワークスペースを利用するには、まずメンバー登録する必要があります。
Community会員は無料で登録でき、コワーキングスペースのデイパス利用が可能になります。月間で契約したい場合は、Peer会員になる必要があります。年間$120かかりますが、GPS会員限定のイベントに参加できるなど、様々な特典があります。
ゲーム開発者なら一度覗いてみたいコワーキングスペースです。
スペース名 | GamePlay Space |
住所 | 1435 St Alexander St Suite 140, Montreal, Quebec H3A 2G4 [地図] |
料金 (日) | $35 (Community members) $25 (Peer members) |
料金 (月) | $180 (Peer membersのみ) |
WEB | www.gameplayspace.com |
モントリオールはイベントが盛り沢山なエネルギッシュな街
「トロントはカナダの経済の中心地、モントリオールは文化の中心地」と木下氏は言います。モントリオールと言えば「モントリオール・ジャズ・フェスティバル」が有名ですが、特に6月から10月にかけての夏のシーズンは観光客も多く、音楽やアート、スポーツのイベントやフェスティバルが多数開催されています。そのいくつかを紹介します。
また「Running Remote」や「7in7」等のデジタルノマド向けイベントやカンファレンスも開催されています。
Montréal Food Trucks Festival
40ものフードトラックが集まり、料理をつまみながらライブやDJのパフォーマンスを楽しめる北米最大のフードトラックの祭典。
Montréal Pride Festival
世界各地で行われているLGBTQ+の祭典、ブライド・パレードは、モントリオールでも盛大に開かれます。
MURAL Festival Montréal
ライブアート、音楽、展示会、アーティスト達のトークなど、ストリートアートのフェスティバル。
L’International des Feux Loto-Québec
モントリオールで開かれる国際花火大会。セントローレンス川に浮かぶサンテレーヌ島に夏季限定でオープンする遊園地「ラ・ロンド」で行われます。
F1 Canada Grand Prix
モントリオールで毎年開催される、カナダ最大の自動車レースイベント「F1カナダグランプリ」。10万人もの観客が集まり、レース以外にもストリートパーティーやF1展示会などが楽しめる。
Piknic Electronik Montreal
夏の期間中(2022年は5月22日~10月2日)、モントリオールのジャン=ドラポー公園にて毎週開かれるエレクトロニックミュージックのイベント。